

1. 災害医療との出会い
私は、医療機器業界に18年間在籍した、1995年1月17日の阪神淡路大震災で多くの友人知人を失いました。
そのわずか2ヶ月後にJETRO (日本貿易振興機構) の招きで "インポートマートフェアー" が池袋サンシャインタワーで開かれました。この会場で、初めて世界に「災害医療のコンセプト」とそのための「準備と備蓄」をしている国・企業があるのを知り驚愕しました。これが私と「ノルウェー王国」の「ノルメカ社(ノルウェーとメディカルの造語)との出会いでした。
2. 災害医療のコンセプト
もし日本に大震災が起こる前に、災害医療のコンセプトがあり、多くの人々がそれを学び知り、実践していたらあの悲惨な大災害(死者6,434名、行方不明者3名、負傷者45,000名以上)は間違いなく大幅に軽減(少なくとも死者800~1,000名が救命)できたのにと、大変悔しい思いをしました。
人生に「もし」は存在しません。しかし「災害医療コンセプト」は存在します。
3. 最初の、そして唯一の
この不幸の体験を繰り返すことのないよう、災害大国日本にはこれから絶対に災害医療が必要になると、1996年12月に日本で最初の、そして唯一の災害医療総合商社「ノルメカエイシア社」を立ち上げました。
自然災害(地震・台風・洪水・噴火等)から人為災害(飛行機事故・放射能事故・テロ・紛争等)や感染症まで、国内災害から海外での災害まで、地球上のどこかで毎日必ず災害は起きています。このためにはリスクマネージメント(危機管理)での防災・減災は出来ても被災者の救命はできません。
4. コンセキエンスマネージメント
新しい概念であるコンセキエンスマネージメント(consequence management : 被害管理・結果管理)が必要となります。
災害は「いつ」「どこで」「どのような」「どのくらいの規模」で発生するかを予知することはできません。しかし、必ずどこかで起きるのです。ですから、最悪の災害を想定し、起きた後の人命救助を最優先にした計画・訓練・準備をし、被害を最小限にすることが私達の責務です。
5. 米国のOSHA
米国の労働安全衛生管理局(OSHA)は、医療スタッフの安全と安心が確保されていなければ、より良い臨床的成果は得られない。経営者・雇用者は、労働者・スタッフに正しい教育と訓練を行い、正しい装備をさせ被災者・患者に備えるのに全責任を負っているとも言っています。
6. 私たちのミッション(活動)
私たちは、会社創立以来常に24時間・365日の待機・連絡網を構築し大規模災害に備えてきました。
今までの活動は、1999年のコソボ紛争を始めとして、インド西部大地震、Y2K(2000年問題)、スマトラ沖地震・大津波、中越地震、SARS、2009年の新型インフルエンザ感染症等の多くの災害派遣医療のロジスティックスサポートを経験・体験してきました。
7. これからも
これまでのミッションで、災害医療教育と災害医療ロジスティックスの成否が、コンセキエンスマネージメントの成否を決めると痛感しました。
2010年5月に「一般社団法人日本災害医療教育研修協会」を設立し、同年12月に「一般社団法人日本災害医療ロジスティック協会」を立ち上げました。この2つを通して災害医療に関わる専門スタッフの養成に寄与します。
これからも『病気が人体を解剖し、災害が社会を解剖する』を心に、災害医療の原点である「プリベンタブルデス(防ぐことができた死)のゼロを目指してゆきます。
創業者 千田 良